鍛鉄で伝説の生物を制作したシリーズの「鳳凰_鳳」です。
ボディは鱗で覆われ、翼は透け感のあるワイヤー表現です。
鳳凰に雌雄がある、ない、諸説あるようですが、これは作っているうちにどうにも男の子になったので、雌雄はあるとしての「雄」つまり「鳳」となりました。
- OLB-002
- サイズ : w600 d550 h900 (mm)
- 素材 : 鉄
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舞い降りてきた姿を映しています。
大きく翼を広げ、前を見据えています。
大きな眼球は、かなり離れたところから見てもはっきりわかります。
目元もまつ毛が長く、派手になっています。
設置になると近くで見ることができないので、離れて見ても細部がわかるようにと、少し大げさな表現としました。
鳳凰は体の各パーツが様々な動物であるとされるようです。キメラみたい?
悩んだのですが、宇治平等院鳳凰堂の鳳凰をお手本と考えることにして制作しました。
鳳凰堂の鳳凰は、頭部は鶏の要素を感じたので、この鳳凰にはトサカと肉髯(にくぜんー顎下の垂れ下がり)があります。
メンテナンスのために、頭部は外れるように作りました。
鼻の袋ナットと頭頂部の袋ナットを外すことができます。
飾りの袋ナットと、デザイン的に一体感を持つようにしました。
単に私が袋ナット好きだからかもしれませんけど。
宇治平等院鳳凰堂の鳳凰は、首にチョーカーのようなものをつけていますが、その表現からは外れました。
可愛くて好きなので、どうしようかとは思いました。
ただ、首まで鱗はくどいと感じたので、鎧のようなものをつけることにしました。
ボディはソリッドで翼はワイヤー表現なので、つなぎの翼の付け根は少し太い線を使いました。
胸から大きくうねって翼につながります。
翼は、線の太さを色々と変化させて、密度とボリュームをもたせながら軽い印象になるようにデザインしました。
設置場所に、実際に軽くないといけない条件があり、それをクリアしながら、作品自体も重すぎないものにしたいと考えていました。
透け感のある翼なので、翼越しにボディを感じられるのは良かったと思っています。
翼は前部から後部にかけて太さにグラデーションをもたせています。
繰り返しの線が綺麗なリズムを作ります。
ボディは曲面に沿って鱗を貼りました。
鱗は最初丸みのあるもので試したのですが、なんとも魚になってしまい、角を感じる形に変えました。
縦目に細かくハンマートーンを入れて、縁は再度叩き込み一枚の輪郭を感じられるようにしました。
鱗といっても魚類と爬虫類では大きな違いがあり、魚類では真皮の内部に発達した骨格(皮骨)で、爬虫類は表皮起源だそうです。
鳳凰の鱗は蛇を模しているようで、爬虫類っぽくあるべきなんでしょうね。
腿の付け根から脚につながっていきます。
脚は太い鍛造線を間接で束ねています。
脚の鍛造線は腿の中を通り、ボディの芯に固定して、構造となっています。
体全体の角度に関わり、カタチを決めるのにとても苦労しました。
関節の表現。
人間でいうところではかかとに当たる関節です。
横の輪を重ねて、疾走感をイメージしています。
写真で動きを表すのに横にブラしたりしますよね。
あんな感じ、ちょっとコミック的?
人間でいうところの甲にあたる部分は、細い鍛造線を丹念に巻きつけました。
関節と同じ向きで、太さの違う表現になるので、リズムと一体感を感じると思います。
正面には爪に向けてベクトルを集約するような縦目の飾りラインを入れました。
腿の付け根からの流れがスムーズに爪につながります。
宇治平等院鳳凰堂の鳳凰は、設置されているものを見上げる限り爪の様子は見えませんが、足元はとても写実で控えめな表現になっています。
私は逆に大きくデフォルメしたものに作りました。
荒いハンマートーンで爪自体を大きく作り、甲に大胆に巻きつけるデザインです。
足元は、見上げる設置だと見えにくいものなのですが、はっきり見えるようにしたいと考えました。
ところで鳳凰の背中は亀だそうで、甲羅があるんですかね。
鳳凰堂の鳳凰の背中って、画像が見つからなくでどうなってるかわからなかったです。
私は、ソリッドの甲羅はランドセル背負ってるみたいに見えそうで、(それはそれで可愛いかもしれないんですけど)、ラインでダイアゴナルに膨らみをつけることにしました。
そして尾です。
立ち上る炎のように大きく広がるものとしました。
太めの鉄線を色々な角度から潰して作った鍛造線と、細い鍛造線を組み合わせて畝らせています。
屋外設置で、風による揺れでパーツ同士が当たり音がならないように、ポイントポイントで溶接して、一体にしてあります。
デザイン的に違和感のないように工夫しました。
個展会場での作品展示写真です。
ライトがハロゲンだと鉄の質感が綺麗に見えます。
ちなみにメイキングは9まであります。あしからず。。。