実際にあったスダジイをモデルにしています。
マンションを建てるために伐採が決まった木の姿を残すために鉄で制作したものです。
複数に株立した大きな姿と密生した葉の様子を、重い印象にならないようまとめました。
- OKP-128
- サイズ : w1100 d600 h1200
- 素材 : 鉄
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葉は面と線で表現しました。
幹にはサビ板を溶断したものを使いました。
全て鉄ですが、サビ板を低い温度で鍛造して残した赤みや、真鍮ブラシで磨きこんで薄っすら真鍮が乗った様子、時間をかけて錆びた赤み、溶接の熱での窯変に似た変化など、微妙ですが様々な色味の違いを出しています。
枝には面、線、たくさんの葉をつけました。
上部枝の先端は、若干線の葉が多くなっています。
かなり自由な枝ぶりに見えるかもしれませんが、私なりのこだわりで結構計算し尽くして配置しているつもりです。
葉は一枚一枚が生き生きするように大きさバランス向きを調整しました。
マンションのエントランスに設置のこともあり、先端は尖らせすぎないように気をつけました。
実際の植物は、結構先端が尖っているパーツが多く、その形状がその植物特有の雰囲気に大きく関与する場合もあり、鉄で作る際に悩ましい時が有りますね。
通常安全を優先してデザインをまとめています。
枝はアクセントに、部分的なねじれを入れました。
どんな植物を作るにせよ、枝や蔓はどこかねじれを入れたほうが、なんとなく見て気持ちが落ち着く感じにまとまる気がしています。
たとえ蔓の表現がただの丸棒で、ねじってもねじらなくても見かけあまりわからないような場合であっても、ねじりを入れると落ち着くと感じます。
実際の植物には、フィボナッチ数列を内包した螺旋の仕様が仕掛けられているそうです。
意識していなくても、植物を見る時、ねじれや螺旋が隠れていることが自然だから、それがないと逆にへんなカンジがするのでしょうかね。
たとえそれが、ちゃんとしたフィボナッチ数列になっていなくても。
スダジイは寿命を300年ともいわれる長寿の木です。
ですので、もうかなり樹齢があったかもしれない大きな姿でしたが、天寿に届く程の頃ではなかったかもしれません。
鉄に姿を写して、記憶の樹齢を重ねられたらと思いました。